真ん中

ずっとずっと憧れていた

みんなの真ん中にいる人


愛想笑いしながら

嫌われないようにしながら

みんなの外側から見ていることしかできなかった


憧れは嫉妬になった

嫉妬は諦めになった

そんな自分を嫌いだと思った


自分を嫌うことは

自分を守ることだった


自分を嫌いでいればいい

そうすればもう、あそこに行きたいと思わなくていい

背伸びしなくていい

ここから出なくていい


そう決めたのに

それでいいって思ったのに・・・


自分を好きになりたい

わたしだって真ん中になりたい


ある日

心がそう叫んだ


ここじゃないどこかに

自分じゃないなにかに

変わることができたらきっと


自分を好きになれる

そう思った


気付いたら

がむしゃらに走り出していた


苦手なこと、できなかったことに飛び込み続けた


変化は、目に見えるように現れて

周りから認められて、だからもっと認められたくて

強く強く、もっと強くならなきゃと、走り続けた


ここじゃないどこかに

自分じゃないなにかに

いけたら、なれたら、きっと自分を好きになれる


それだけを思って突き進んだら

大切な人の言葉が雑音になって

自分の声も聞こえなくなって


迷惑かけて、傷つけて、失って、後悔して

疲れ果てて、歩けなくなった


涙がこぼれたときにようやく

泣くことも忘れていたことに気付いた


その時に初めて知った

優しさがあった


自分に嘘をついて周りに合わせて

傷ついても笑うことでやり過ごしてきた


大嫌いだった自分の弱いところは

強くなろうとがむしゃらに走り続けて

立ち止まって振り返ったときに


人の気持ちに寄り添える

優しさだったと気付いた


だけどずっと、嫌いな自分を変えたいと生きてきたから

どうやって自分を好きになればいいのかなんて

わからなかった


だからとりあえず

嫌いな自分のまま

好きだと思うことを探してみようと思った


嫌いが自分を変えてくれる

苦しいことが成長させてくれる

好きは自分を甘やかすだけだ

そう思っていたのに


好きを辿っていったら

出会う人が変わって

もらう言葉が変わって

見える景色が変わった


自分を好きになることはできなかったけど

好きだと言ってくれる人たちがいて

幸せを願ってくれる人たちがいた


気付いたら

あんなに行きたかった真ん中が

どこかわからなくなっていた


自分は真ん中で

みんなも真ん中で

ただそこで、笑っている自分がいた


それはずっとずっと欲しかったもの

ずっとずっと思い描いたもの


生きる目的で、ゴールだった


そして辿り着いてしまったら

もうここにはいられない

次に進まなきゃいけない


その先の景色があるはずだから


悔しいけど

どこかでちゃんとわかってる


ゴールは、次のスタート


なんてベタなセリフだろう

だけど本当のことなんだ


あの日夢みた"真ん中"から

飛び出さなきゃ

なんでもない日にいらっしゃい

好きなこと、大切なことの記録

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