泣き虫なのはよく知ってるよ
小学校を卒業したあとすぐ、保健室の先生からぬいぐるみが届いた。
小6の時、人生初の立候補で保健委員長になった。引っ込み思案だった私にとって、清水の舞台から飛び降りる勇気だった。
保健室の先生とは必然的に仲良くなった。先生が保健室に置いていた猫のぬいぐるみが可愛くて、欲しいなーっておしゃべりもした。
春休みに届いた小包には、猫のぬいぐるみとお手製の服、そして手紙。
"保健室の子たちはあげられないけど、そのかわりにこの子をもらってください。"
クレタと名前をつけた。保健室の子がグレタという名前だったから。
クレタは今、青森の家にいる。
他のぬいぐるみたちは実家を出るときに手放してしまったけど、この子はなんとなく手放せなかった。
中学、高校、大学、そして社会人。
いっぱいいっぱい泣いてきた。
ものすごく泣き虫だった。
その全部を、見守ってくれた存在になった。
「あんたが泣き虫なのはよーく知ってるよ。ま、仕方ないから、あんたがばーさんになるまで、オレが側にいてやるよ。あいつら(手放したぬいぐるみたち)にも、よろしくって頼まれたしな」
不思議と今日、そんな声が聞こえた気がした。想像以上に男前だ。笑
青森の家にはぬいぐるみはたくさんいるけど、私の実家から連れてきたのはクレタひとり。
うん、末永くよろしくお願いします。
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